ドクター日浅の″健康雑話” 其の十五
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ドクター日浅の″健康雑話” 其の十五
2023.04.15
海南病院のホームページを訪ねてくださりありがとうございます。
私が海南病院に勤務するようになって4年が過ぎました。月曜日の外来にはたくさんの方が受診してくださるようになり、医者冥利に尽きると感謝しています。
これからも海陽町民をはじめ、南部地域の方々に少しでも健康面でお役に立てればと願っています。その一環として、日々の診療の中で経験したことや感じたことを雑談的に書いてみたいと思います。気楽に読んでいただければ幸いです。
本年1月、第11回「日本医師会赤ひげ大賞」に徳島市勝占町で開業されている桜井えつ先生、他4人が選ばれました。赤ひげ大賞は、地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に地域住民の生活を支えている医師にスポットを当てて顕彰をすること目的に設立されたものです。赤ひげ大賞の命名は、江戸中期に貧民救済施設で活躍した小川笙船(しょうせん)をモデルにした山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚(しんりょうたん)」に由来したものです。
桜井先生は、私の2年先輩で徳島大学時代から半世紀近いお付き合いをさせていただいています。先生は開業されていた父親である大先生の医院に帰ってこられて以来、40年地域医療に携わってこられました。私の徳島赤十字病院勤務中、おそらく最も多くの患者さんを紹介していただいたと思います。患者さんは桜井先生とは呼ばず、えっちゃんと言います。大先生の時代から家族のかかりつけ医であり、桜井先生の小さい頃を知っているからです。ある患者さんは、「両親がえっちゃんと呼んでいるので私も桜井先生が年上だけど同じ呼び方をさせてもらっている」と言っていました。先生はもちろん医療の知識や技術も卓越していますが、患者さんの家族関係から性格や趣味、今の時期にはどんな野菜を作っている等の仕事の内容、ネコを何匹飼っているかも知っていると患者さんも驚かれるほどです。このような医師をかかりつけ医にしている患者さんは本当に幸せだと思います。
県西部で病院を運営されているF先生は私より一回り年上ですが、未だ現役でバリバリ診療をされています。F先生とも40年以上お付き合いをさせていただいています。私が赤十字病院に赴任した当時、病診連携を徹底しない限りやっていけないと思い、その当時県内で一番多くの患者さんを診ていると思ったF先生を訪ねて患者の紹介をお願いしました。先生は朝早くから深夜まで診療し、夜間の緊急にも対応されていました。患者さんは「F先生はいつ寝るのだろう」と心配されていました。超多忙の中でも的確な診断で精密検査が必要な患者さんを見抜き、当時リスクが多いと恐れられていた冠動脈造影にも多くの患者さんを紹介して戴きました。F先生が現役を続けられる限りは私も頑張ろうと思っています。
他にも、県外の大学で消化器科の教授候補と言われながら父の跡を継ぎ家庭医と専門医を両立させ地域医療をされていた県北のS先生、クリニックをしながら私たち以上に深い専門的な循環器診療をされている県南のM先生など多くの先生方が頑張っておられます。
今回の赤ひげ大賞表彰式で受賞者のお一人が、「70歳を古稀と言いますが、こき使ってもらう方が本人のためになる」と話していました。私も70歳を超えましたが、これからもこれらの先生を目標に皆さんに信頼される「かかりつけ医」を目指し頑張りたいと思います。
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