ドクター日浅の”健康雑話” 其の十二
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ドクター日浅の”健康雑話” 其の十二
2023.01.16
海南病院のホームページを訪ねてくださりありがとうございます。
私が海南病院に勤務するようになって4年を迎えようとしています。月曜日の外来にはたくさんの方が受診してくださるようになり、医者冥利に尽きると感謝しています。
これからも海陽町民をはじめ、南部地域の方々に少しでも健康面でお役に立てればと願っています。その一環として、日々の診療の中で経験したことや感じたことを雑談的に書いてみたいと思います。気楽に読んでいただければ幸いです。
外来担当の朝、本日も予約患者さんでいっぱい。忙しくなりそうだ。気合を入れていこう!
あっという間にもう10時、これまで順調な流れで良かった。心配していた心不全のS夫さんは元気だったし、胸部X線写真も良好。何より、何より。
次はF美さん。あれ!今日は着物か・・・。そういえばF美さんは着物が趣味と言っていたなあ。この方の不整脈は良性のものだし、最近は症状も落ち着いているとおっしゃる。じゃあ身体を診察させていただこう。「すみません。心臓の音を聴かせてください」、「先生、ちょっと待ってください。着物を取りますから・・・」、「前をはだけるだけで聴けますよ」、「先生、この着物ちゃんと脱がなければ前がはだけられないのですよ・・・」。
足の触診をするのに足袋を脱いでもらわなければならず、お腹の触診にも時間がかかった。診察が終わって着るのにも手間取った。普段なら着物姿の女性は素敵だと思うけど、診察の際は診察しやすい服で来て欲しいなあ。結局、F美さんのために20分もかかってしまい、後の患者さんを診るスケジュールが狂ってしまった。大変だ。もっと気合を入れて頑張らなくちゃ。
私は次の6つの点を基本に身体を診ています。また、診察の際に患者さんに協力していただきたいことは次のようなことです。
1)両手の脈をとります:両手の掌を上向きにして差し出してください
2)心臓の音を聴きます:静かに普通の呼吸をしてください。深呼吸をすると呼吸音で心臓の音が聴けなくなります。
3)左右の首に血管雑音が無いか聴きます:ごく短時間軽く息を止めてください。
4)肺の血管がよどんでいないか、水がたまっていないか背中で呼吸音を聴きます:このときはなるべく深い呼吸を繰り返してください。
5)左右の足背や踵の脈が良く触知するか診ます:ベッドに仰向けになり素足で足を少し開き加減にしてください。
6)腹部血管に瘤が出来ていないか触知します:臍の直下にある腹部大動脈を触るために膝を伸ばしてベッドに寝てください。
また、心臓、首、肺等の聴診をしている間の会話は厳禁です。聴診器はわずかな音でも拾うように作られているため、患者さんにとっては普通の発声でも、医師の耳に大鐘をついているような音がします。
患者さんの身体をスムーズかつ正確に診るため、服装だけでなくこのようなことに留意し、診察を受けていただきたいものです。
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