ドクター日浅の“健康雑話” 其の八

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ドクター日浅の“健康雑話” 其の八

2022.09.15

海南病院のホームページを訪ねてくださりありがとうございます。

私が海南病院に勤務するようになって3年近く経ちます。月曜日の外来にはたくさんの方が受診してくださるようになり、医者冥利に尽きると感謝しています。

これからも海陽町民を始めとした南部地域の方々に少しでも健康面でお役に立てればと願っています。その一環として、日々の診療の中で経験したことや感じたことを雑談的に書いてみたいと思います。気楽に読んで戴ければ幸いです。

其の八  川柳にみる診察室の風景

 川柳に興味を持っています。自分で作品を作るという領域には達していませんが、五・七・五の17音の定型詩に込められたじわりと湧いてくる笑いや自然なユーモアは日本文化ならではの味がします。以下の作品は私が購読している毎日新聞に掲載されたものですが、患者さんからみた病院・医療の姿が描かれています。

「シャイなのか患者(オレ)より画面見てる医者」¹⁾

 当院でも電子カルテが採用されています。レントゲン写真や検査結果は全て電子カルテの中。診察記事も打ちこまなくてはなりません。パソコンに向かいながら患者さんと話すことがどうしても多くなります。しかし患者さんにすれば、きちんと向かい合って話を聞いてほしい。身体もちゃんと診察して欲しいと思うはずです。私は急がないカルテ記入は診察後にしています。

 「丸椅子に患者の地位を知らされる」²⁾
 患者さんの地位が向上したといっても患者は丸椅子、医者は背もたれ付きの豪華な椅子ではこうした川柳も作ってみたくなります。しかし、実際の診療現場では、背もたれや肘掛け付きの椅子は、背中の聴診や脈をみるのに邪魔で不便です。丸椅子に座って頂いても丁寧な言遣いや真摯な態度で患者さんの目線に立った診療を心がけています。
「一瞬に青空になる“異常なし”」³⁾

 ここ何日間、ひょっとすると何週間も最悪のことを考え思い悩んできた患者さん。仕事は続けられるのか、自分がいなくなれば家族はどうなるのかなど怖くて不安な日々が続きました。しかし“異常なし”の一言で、心は快晴、それまで無かった食欲が出て、途端に空腹感を覚えます。私もよいことは結論から伝えます。「心配ないですよ」。患者さんの顔がさっとほころぶのが分かります。

「診察の医師の笑顔が薬です」⁴⁾
 心身ともに傷つき病んでいる患者さんにとって、医師や看護師の優しい言葉や笑顔が最良のサプリメントです。相手のことを思いやる態度や言葉が医療に携わる者には不可欠です。

 

引用元 いずれも毎日新聞朝刊。

¹⁾2016年11月21日、²⁾2013年12月22日、³⁾2016年5月10日、⁴⁾2015年12月2日

追加
 この記事は私の診療風景を2022年8月14日毎日新聞日曜くらぶ“みんな集合”に投稿、掲載されたものです。どうぞご一読ください。

 

ドクター日浅の健康雑話 過去の記事はこ

其の一 飲酒後コタツで一瞬気を失った 

其の二 お尻から太ももの後ろがしびれるので整形外科を受診した

其の三 心臓専門医の急性心筋梗塞体験記(上)

其の四 心臓専門医の急性心筋梗塞体験記(中)

其の五 心臓専門医の急性心筋梗塞体験記(下)

其の六 患者さんの感謝の言葉が一番うれしい

其の七 心臓も”気絶する”ことがある